(1)マウス腎臓核タンパクと結合するDNA配列の探索 まず交付申請書に示したようにフットプリント法でマウス腎臓核タンパクが結合するDNA配列を決定することを試みたが、はっきりとしたフットプリントは得られず、この方法を断念した。 別の方法としてレポータージーンアッセイ法があるので分泌型アルカリホスファターゼをレポータージーンとして種々の長さのプロモーター領域を含むコンストラクトを作成した。しかしhOAT1を内因性に発現している細胞が必要であったので、RT-PCR法を用いてスクリーニングを行ったところ、ConA活性化ヒトCD4^+細胞で転写がみとめられることを明らかにすることが出来た。しかしT細胞由来細胞株では転写発現を認めなかった。したがって浮遊細胞でもあり、有効な遺伝子導入を行うことができなかった。 (2)今後の方針 もともと腎臓の形質を維持した細胞株は得られにくく、特にトランスポーターを内因性に発現している腎臓由来の細胞株が存在しないので、腎臓におけるプロモーター解析は皆無であった。しかし近年トランスジェニックマウスを作成することによりプロモーター領域を内含するDNA配列を示すことができるようになっており、複数の報告がある。今後hOAT1、hURAT1のような腎臓特異的なトランスポーターの遺伝子についてトランジェニックマウスを作成することにより転写機構を解明する方針である。
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