本研究ではCHO-HER細胞にGnT-III遺伝子を導入することによって、EGFシグナル経路や受容体のエンドサイトーシスにどのような変化が起こるかを検討した。^<125>I-EGFを用いたリガンド結合実験によって、GnT-III導入細胞ではEGF受容体のうち低親和性のものが減少することがわかった。高親和性受容体には変化がみられず、EGFレセプターの自己リン酸化の程度には変化がないことがわかった。一方、GnT-III導入細胞では受容体のエンドサイトーシスが亢進することが明らかとなった。そこで糖鎖の改変したEGF受容体を精製し解析するため、EGF受容体にHis-tagをつけたものをCHO細胞に導入し、CHO-HER(His)細胞を確立した後GnT-III遺伝子を導入した。この細胞抽出液より金属キレートカラムとアフィニティーカラムを用いることによってEGF受容体を精製した。現在、この精製物と人口脂質二重膜を用いて細胞膜を再構成することを試みている。また一方で、CHO-HER細胞やHeLaS3細胞にGnT-III遺伝子を導入したものを用いて一分子解析を試みている。
|