研究概要 |
新規生体内分子Nuclingはマウス胚性腫瘍細胞(EC細胞)の一系統であるF9細胞より、別のEC細胞株であるP19細胞とのcDNAサブトラクション法により単離されたF9細胞特異的分子である。F9細胞とP19細胞は共に未分化なEC細胞の一クローンという点で共通であるが、ある条件下で分化誘導を掛けた場合にその分化の方向性に違いがある。この違いを規定している因子としては遺伝子が考えられる。つまり未分化な状態の時既に、遺伝子あるいは複数の遺伝子群の発現パターンに差がある可能性が強く疑われた。この発想に基づき、両細胞それぞれに特異的な遺伝子を単離し、細胞分化に重要な遺伝子を明らかにする試みを行っている。whole mount in situ hybridization, RT-PCR, Northern blot等の遺伝子工学的手法を用いてNucling遺伝子の発現が心筋の発生・分化と共に誘導されることを明らかにし、これを発表した(J. Biochem. in press)。また本遺伝子産物はcaspase系を活性化して細胞死apoptosisを誘導することを明らかにした。遺伝子欠失マウス由来細胞を用いることにより、本遺伝子産物はcytochrome c/Apaf-1/caspase-9で構成されるapoptosomeの形成に必須の分子であることを明らかにした(投稿準備中)。本遺伝子産物はまた、apoptosis阻害活性を有する蛋白分子galectin-3に作用して、その発現を制御することにより、apoptosisを制御していることを明らかにした(投稿準備中)。
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