Y-box binding protein (YB-1)はバクテリアから真核細胞まで進化的に広く保存された核酸結合蛋白である。これまでに我々を含め解明したYB-1の機能としては(1)細胞質では翻訳の制御、(2)核内では転写の亢進、抑制、(3)外界ストレス時のDNA damageにおける修復、(4)細胞質、核内のRNAなどのshuttle蛋白としての機能などの多機能性を有した蛋白であると考えられている。本年度得られた結果としては1)YB1に結合する蛋白を探索した結果10数種類単離できた。2)翻訳に関与するIRP2との結合様式を詳細に検討した結果、YB1とIRP2は直接結合し、鉄存在下で結合が見られる。IRP2による翻訳調節にYB-1が鉄存在下で関わることを初めて明らかにした。3)IRP2のRNAへの結合がYB-1の存在下に阻害されることを見いだした。4)細胞内でIRP2とYB1は鉄存在下で結合する事を見いだした。さらに5)YB1の5'非翻訳領域の翻訳調節機構についてYB1の5'非翻訳領域にYB1自身が結合し翻訳効率を調節していることを明らかにした。
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