研究概要 |
1.Humanin(HN)cDNA全長の同定 ヒト心臓polyA+を含むλファージcDNAライブラリーを用いて、antisense HN-ORFオリゴDNAをプローブに用いてHN cDNA全長をスクリーニングした。その結果、ミトコンドリア16S rRNAに非常に高い相同牲を持つ約1500bpのpolyA+を含むcDNAが単離された(PNAS2001)。今後、この遺伝子がミトコンドリア由来であるのか、核由来であるのかを検討するとともに、さらに、他の組織由来のヒトあるいはマウスcDNAライブラリーについても同様にスクリーニングを行う予定である。 2.モノクローナル抗体の作製 HNペプチド全長を抗原としてモノクローナル抗体の作製を行った。C端欠損ペプチドの実験から、この抗体は主としてHNペプチドのC端側を認識することが明らかとなった。今後はHNのN端を特異的に強く認識するモノクローナル抗体を作製する予定である。 3.HNの組織特異性の検討 1)HNペプチドの分布 3週齢及び12週齢の雄マウスの各組織から蛋白質を摘出し、SDS電気泳動により分離し、免疫ブロット法により転写を行い、HNを抗HN杭血清を用いて検出した。その結果、3週齢、12週齢のマウスの精巣及び3週齢のマウスの大腸において、3kD近傍に抗血清に反応し、HNペプチドにより吸収されるバンドが存在することが明らかとなった(Neurosci Lett,2002)。今後は、他のHNを認識する抗体を用いて組織分布を更に検討を加えるとともに、3kDの抗体反応ペプチドについて更に検討を加える予定である。 2)HN mRNAの分布 ヒト及びマウスの各組織のmRNAを電気泳動し、Northern blotting法により、HN-ORF配列に対するantisenseオリゴプローブを用いてHN RNAを検出した。心臓、肝臓、腎臓などにHN-ORFにハイブリダイズするバンドが確認された。今後は、ミトコンドリア16S rRNAとの分布の違いをNorthern blottingにより検討する予定である。
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