進行癌患者にはしばしば溶骨性骨転移が起こる。癌の骨転移巣での溶骨の機構として(1)腫瘍細胞が直接骨を破壊する、(2)腫瘍細胞が破骨細胞分化、活性化を刺激する因子を分泌し、活性化した破骨細胞が骨を破壊するとの2説がある。本研究ではヒト腫瘍細胞を用いてこの2説について検討する。具体的には(1)種々の腫瘍組織におけるカテプシンKの発現を検討する。(2)破骨細胞分化、活性化刺激因子としてのRANK(receptor activator of NF-κB) ligandの各腫瘍組織における発現を検討する。本年度は、平成13年度に行った抗カテプシンK抗体による免疫組織化学的検討を症例数を増加させて行った。それらは、乳癌(10例)、肺癌[扁平上皮癌(3例)、腺癌(2例)、小細胞癌(2例)、大細胞癌(1例)]、前立腺癌(21例)、腎癌(4例)、甲状腺癌(2例)、多発性骨髄腫(2例)、膀胱癌(11例)、食道癌(5例)、胃癌(9例)、結腸癌(11例)、直腸癌(10例)、胆管癌(7例)、膵癌(5例)である。その結果、ヵテプシンK陽性率は、乳癌:8/10(80%)、肺癌[扁平上皮癌:1/3(33.3%)、腺癌:1/2(50%)、小細胞癌:2/2(100%)、大細胞癌:1/1(100%)]、前立腺癌:2/21(9.5%)、腎癌:4/4(100%)、甲状腺癌:1/2(50%)、多発性骨髄腫:1/2(50%)、膀胱癌:8/11(72.7%)、食道癌:4/5(80%)、胃癌:5/9(55.6%)、結腸癌:6/11(54.5%)、直腸癌:8/10(80%)、胆管癌:3/7(42.9%)、膵癌:1/5(20%)であった。各々の組織1例づつを用いてWesternblot法にて27kdの部位にカテプシンK蛋白の発現を確認した。一方、RANKL mRNAの発現については、現在凍結組織を収集中である。
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