研究概要 |
マウス骨肉腫細胞株NHOSの性格と、移植後の骨形成における分子機構については、すでに発表した(Kusumi T et al., Jpn J Cancer Res, 2001 ; 92 : 649-58)。 NHOS移植腫瘍の骨形成はは内軟骨性骨化の過程を示し、それにかかわる因子としてはbone morphogenetic protein(BMP)がある。移植腫瘍の軟骨基質が認められなくなり、骨基質の形成がすすんだ段階で、BMP-6,-7が発現することがわかった。 軟骨基質から骨基質の出現は移植後5日目から12日目ころに観察される。組織学的に軟骨基質は石灰化が生じ、代わって骨基質が出現している。その期間を検討の対象としている。 現在、軟骨形成から骨形成に変換する分子機構について研究をすすめている。上述の通り、BMPが関与していることは明らかであるが、軟骨・骨分化におけるシグナル伝達としては、BMP-SMAD系のほか、mitogen-activated protein kinase(MAPK)系の関与も報告されている。特に、軟骨分化については、parathyroid hormone(PTH)やPTH related peptideのシグナルが、MAPK系を介して転写因子に伝達していることが明らかとなっている。当初、BMP-SMAD系の解析をターゲットとして研究を進める予定であったが、現在は、軟骨分化に注目した場合、MAPK系の解析の方がより重要ではないかと考えている。 方法としては、培養細胞にMAPK阻害剤を作用させ、RT-PCRによるmRNA発現を調べている。ノーザンハイブリダイゼーションでの定量はまだ十分に行えていない。また、MAPK系はタンパクレベルでも発現をウエスタンプロットで調べる予定である。 現時点ではin vitroでの実験が主であり、公表できるデータ、結果は得られていない。
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