研究概要 |
我々はユビキチン(Ub)様タンパク質NEDD8の結合タンパク質として,新規遺伝子NUB1(NEDD8 ultimate buster 1)をyeast two-hybrid法にて単離した.これまでの実験から,NUB1はin vivoでNEDD8を消失させることを明らかにした.当初はNUB1が何らかのプロテアーゼ活性を有している可能性が推測されたが,各種インヒビターによる実験の結果から,NUB1はユビキチン-プロテアソームシステムを介してNEDD8を分解している可能性が強く示唆された.事実,NUB1によるNEDD8分解作用は,protea6ome特異的inhibitorであるlactacystinにより著明に抑制された.NUB-1によるNEDD8の分解がプロテアソームを介しているのであれば,NUB-1は26Sプロテアソームと結合する可能性が高く,おそらくそれは触媒ユニットの20Sプロテアソームではなく,調節ユニットの19S(PA700)であろうと推測される.そこで我々が作製した抗NUB-1抗体を用いて,プロテアソームのどの分画にNUB-1が含まれているかを検討した結果,調節ユニットであるPA700分画にNUB1が含まれていることが明らかとなった.以上より,NUB1はNEDD8とプロテアソームとの間の結合を仲介する分子(シャペロン)として機能している可能性が示唆された.プロテアソームでのタンパク質分解に際して,Ubはリサイクルされているのに対しUbに非常に類似したNEDD8の場合は積極的にプロテアソームで分解されるという,全く対照的な処理が行われていることとなり,今後もこの複雑なNEDD8分解経路の解明はタンパク質分解機構に新たな知見をもたらすものと考える.
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