ラットの酢酸潰瘍モデルを作成し、正常粘膜、早期潰瘍再生粘膜、治癒期潰瘍再生粘膜からのRNAの抽出を行った。また、免疫組織化学染色、In situ hybridizationに用いるホルマリン固定、パラフィン包埋ブロックを作成した。 Ets-1の標的遺伝子であるMMP-1、MMP-3、MMP-9の新生血管と再生上皮での発現を免疫組織化学染色およびIn situ hybridizationを用いて検討した。 1.免疫組織化学染色の結果 Ets-1とMMP-1、MMP-3、MMP-9は、正常粘膜組織において、発現は粘膜上皮細胞や血管内皮細胞、間質線維細胞など、少数の細胞に、弱い発現が認められた。早期潰瘍再生粘膜においては、再生上皮および潰瘍底新生血管内皮や線維芽細胞に発現が強く認められた。治癒期潰瘍再生粘膜においては、その発現細胞は早期潰瘍再性粘膜組織とほぼ同様であったが、発現の強さに低下が認められた。 2.In situ hybridizationの結果 Ets-1とMMP-1、MMP-3、MMP-9のそれぞれのmRNAの発現は、免疫組織化学染色の結果とほぼ同様の細胞での発現と、分布が認められた。 現在、正常粘膜、早期潰瘍再生粘膜、治癒期潰瘍再生粘膜から抽出したRNAを用い、RT-PCRおよびNorthern Blottingによる解析を準備中で、今後、時間経過によるEts-1とMMP-1、MMP-3、MMP-9のmRNAの発現量の変化を解析していく計画である。
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