EAT遺伝子は、ヒト胎児性癌細胞(EC細胞)の分化初期に発現が上昇する遺伝子として単離され、bcl-2関連遺伝子に属する。培養細胞において抗癌剤によって誘導されるアポトーシスを抑制することが示されている。本遺伝子のノックアウト・マウスは胚性致死であることが知られている。本研究では、さらにEATの発生段階および個体レベルでの機能を詳細にするために、マウスEC、ES細胞においてEATを欠損させ、アポトーシス、細胞増殖、分化に対する機能解析を行なうこと、コンディショナル・ノックアウトマウス作製により個体レベルでの機能解析を行なうことを目的とする。 1.EATをコンディショナルにノックアウトするためのターゲッティング・ベクターを作製した。EATは、3ヶのexonからなるが、(1)exon1の両端にloxP配列を挿入したベクターおよび、(2)exon2の両端にloxP配列を挿入したベクターの2種類のターゲッティングベクターの作製を終了した。 2.上記ターゲッティング・ベクターをF9細胞、ES細胞に導入し、一方の対立遺伝子でexon1を挟むようloxP配列が挿入されたES細胞を10クローンを得た。現在これらのクローンを用いてマウスを作製している。 EATは初期胚発生過程のみならず、成獣の多くの臓器(主に上皮)で発現している。コンディショナル・ノックアウトマウスを作製し、成獣でEAT遺伝子をノックアウトすることにより、EATが機能している臓器やEATが果たしている機能が解明されると期待される。
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