| 研究概要 |
cag Pathogenicity Island(PAI)を持つヘリコバクター・ピロリが宿主の胃上皮細胞のNF-κBを顕著に活性化する。そこで、約30の遺伝子からなるcagPAI中のいかなる因子が宿主の胃上皮細胞のNF-κBを活性化させるのか明らかにする目的で、cagPAI中の遺伝子をPCR法にて分取して動物細胞発現ベクターに組み込んだ。組み込む際に、タイプ4分泌機構を構成する遺伝子、シグナルペプチドを持つ遺伝子(唯一打ち込まれる蛋白であるCagAはシグナルペプチドを持たないから)を除外した。従って、これらに属さないcagPAI中の15遺伝子を動物細胞発現ベクターに組み込んだ(HP520,521,523,526,530,531,533,534,535,536,541,543,546,548,549)。作製した発現ベクターをNF-κBのレポーター遺伝子と同時にMKN45細胞にトランスフェクションをおこない、NF-κBの活性を調べた。その結果、HP533のみが弱いNF-κBの活性化を示した。そこで、この活性が有意な活性化かどうか明確にするために、HP533の遺伝子をMKN45細胞にトランスフェクションし、培養液中に分泌されるIL-8の量をELISAにて定量したが、特に培養上清中には有意なIL-8の分泌は認められなかった。従って、他の残りの遺伝子が可能性を追求している。
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