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2002 年度 実績報告書

エイズ病態進行に関わる遺伝子多型の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13770151
研究機関大阪大学

研究代表者

中山 英美  大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70324845)

キーワードエイズ / 分子生物学 / ヒトゲノム
研究概要

欧米のHIV-1感染者のコホートにおいて、エイズ発症の遅延と相関するヒトゲノム上のSNP(single nucleotide polymorphism)の一つとしてCCR2-64Iが知られている。このCCR2-64I遺伝子変異がHIV感染に影響を与える分子機構について解析した。CCR2-64I変異は、CCR2分子の64番目のアミノ酸がバリン(V)からイソロイシン(I)に変異する。CCR2遺伝子からは、スプライシングの違いにより、CCR2AとCCR2Bの2つの分子が作られる。CCR2Bでは、64番目のアミノ酸がバリンのものもイソロイシンのものも、HIVコレセプター活性も、ケモカインレセプター活性も違いがないことが知られており、今までの国内外の研究では、CCR2-64I遺伝子変異のエイズ発症遅延効果の分子機構は明らかではなかった。本研究者はCCR2A分子のほうに着目した。CCR2A分子はCCR2B分子と違い、主に細胞質に存在するが、64番目のアミノ酸をバリンからイソロイシンに置換すると、細胞室内でCCR2A分子の安定性が増すことがわかった。CCR2分子は、HIV感染には極めて重要なコレセプターであるCCR5分子と相同性が高く、CCR2AとCCR5が2量体を形成すること、その結果、細胞質に留まる性質のCCR2Aの共存により、CCR5分子の細胞表面への輸送が阻害されること、更に、この阻害効果は、64番目がバリンのCCR2AよりもイソロイシンのCCR2Aのほうが強いことが明らかとなった。このことから、CCR2-64I遺伝子多型によるエイズ病態遅延効果は、CCR2A-64I分子によってCCR5コレセプターの細胞表面発現が阻害されていることによる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Tatsuo Shioda et al.: "Naturally occurring deletional mutation in the C-terminal cytoplasmic tail of CCR5 affects surface trafficking of CCR5"Journal of Virology. 75. 3462-3468 (2001)

  • [文献書誌] Suda Louisirirotchanakul et al.: "Genetic analysis of HIV-1 discordant couples in Thailand : Association of CCR2 641 homozygosity with HIV-1 negative status"Journal of AIDS. 29. 314-315 (2002)

  • [文献書誌] Emi E.Nakayama et al.: "Protective effect of IL4-589T polymorphism on HIV-1 disease progression : Relationship with viral load"Journal of Infectious Diseases. 185. 1183-1186 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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