[Advベクターへの挿入DNAサイズの縮小化]EBV oriPの各種欠失変異体plasmidを作製し、EBV感染細胞内での長期維持能を検討した。その結果、oriPの二つの機能領域FRとDS間の介在ウイルス配列全域をtetracycline応答性トランスアクチベーター(rtTA)発現カセットで置換した変異型oriP plasmidが野生型oriPと同程度の効率でepisomeとして複製維持されることを見い出した。これにより0.9kbのサイズ縮小が可能となった。 また293細胞ではCMV promoter活性がSV40 promoter活性よりも強いことを見い出したので、TREからの発現leakを最小とするためにrtTAを従来のCMV promoter駆動からSV40 promoter駆動に変更した。これにより0.3kbのサイズ縮小を行った。SV40 promoterはoriP配列の近傍に配置するとEBNA1による転写活性化を受けることが確認され、SV40 promoterを用いることでrtTA発現がEBV感染細胞でのみさらに増強されることが期待される。 以上の成績からベクターに組み込む遺伝子群は総計約9kbであったものが約7.8kbにまでサイズ縮小でき、Advベクターへの挿入が可能となった。 [293/tTS細胞の作製]293細胞内でのTREからのCre発現leakによる環状化を未然に防ぐため、tetracycline調節性転写サイレンサー(tTS)遺伝子発現ユニットと薬剤耐性マーカーを含んだプラスミドを構築、293細胞にtransfectし、stable-transfectantを得た。レポーターアッセイによりTRE活性が強く抑えられるクローン(293/tTS)を選択した。その結果、293細胞に比較してTRE活性を1/100以下に抑えられるクローンを見い出した。 以上の成果を踏まえ、引き続きベクターゲノムを構築中である。
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