環境ホルモンコプラナーPCBは、in vivoで肝臓特異的にカルボニックアンヒドラーゼIII(CAIII)を抑制することを報告した。また、肝臓のアルコール脱水素酵素もin vivoで抑制することから、これを報告した。これまでに、ラット肝臓からゲノムDNAを調製し、ヒトとマウスのCAIIIプロモーターの配列をもとに、PCR増幅し、ラットCAIII遺伝子の5'-上流域1.5kbの塩基配列を明らかにした。モチーフ解析によって、肝臓特異的に発現する遺伝子によく見られるCCAAT enhancer binding protein(C/EBP)結合エレメントと、xenobiotic responsive element(XRE)と呼ばれるAh-レセプター(AhR)に対する応答配列に類似する配列が独立していた。そこで、まず、この遺伝子が転写されていることを確認するため、Cap site hunting法を用いて転写開始点の決定を行った。次に、ホタルルシフェラーゼをレポーター遺伝子としたレポーターコンストラクトをpGL3に構築した。ラットCAIII遺伝子の5'-上流域1.5kbを含むコンストラクトの他、XRE-like配列に着目して、XRE-like配列までを含むものと含まないもの、XRE-like配列に変異を導入したものを構築した。このルシフェラーゼ活性を調べるために、簡便な株化細胞が使用できないか検討を行ったが、調べた範囲ではCAIIIの発現は高くなく、研究の目的にあわないものと思われた。現在、初代培養肝細胞の系を用いて検討を行っている。
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