研究概要 |
本研究は、ともに肥満の下流領域に存在するインスリン抵抗性及び高レプチン血症がマルチプルリスクファクター症候群といかなる関連性を有しているか、さらにその関連性に異なる点があるかどうか、異なる場合にはどちらがより強くマルチプルリスクファクター症候群と関連しているかを明らかにすることを目的としている。 研究初年度にあたる平成13年度はまず健診成績から高血圧(SBP140mmHg以上またはDBP90mmHg以上)、耐糖能異常(FBS110mg/dl以上)、高中性脂肪血(150mg/dl以上)、低HDLコレステロール血症(40mg/dl未満)を診断し、これらリスクファクター(RF)を同一個人が同時にいくつ持つかによって0個、1個、2個、と3個以上の4群に分けた。その結果158例がRF集積3個以上の群となり、これと5歳の年齢階級で頻度マッチングさせて0個、1個、2個群を同数抽出した。これらの者の凍結血清を選び出し、営利を目的とする外部機関に移送し、インスリンおよびレプチンの測定を実施した。なお、高血圧、糖尿病、高脂血症の薬物治療を受けていると回答した者(それぞれ243、78、42名)は本解析の対象者からは除いている。 血清量による制約のため、インスリン、レプチンともに測定されたのは0個、1個、2個、と3以上の各群でそれぞれ146、147、147、131名であった。インスリン濃度の測定はsolid phase RIA(RIABE AD II:Dainabot Co.,Ltd.Chiba,Japan)により、レプチンはRIA(Human Leptin RIA Kit;Linco Research Inc. MO, USA)によった。全対象者のインスリンおよびレプチンの幾何平均は2.06μU/ml、1.65ng/mlであった。 平成14年度はマルチプルリスクファクター症候群有病者では、非有病者に比しインスリン抵抗性および血清レプチン値が高く、その程度は集積の程度によって量反応的に異なる、という統計学的仮説を設けた疫学解析を進めていく。
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