人口動態統計調査成績の1976年から1995年までの都道府県別死因別集計表をもとに都道府県別男女別年齢階級別の循環器疾患死亡数の入力を完了した。また国勢調査から性別年齢別階級別人口を入力し対象年の推計人口を算出した。また厚生科学研究補助金(統計情報高度利用総合研究事業)による「指定・承認・届出統計の有効活用に関する研究」 (班長:埼玉大学副学長 柳川洋)で入手した国民栄養調査から循環器疾患の危険因子項目である血圧、飲酒習慣および喫煙習慣を都道府県別に抽出した。対象年の県別男女別年齢階級別人口から循環器疾患年齢調整死亡率および危険因子項目の年齢調整平均値を算出した。そこで脳血管疾患死亡率と危険因子との関連について当該年から1976年から1978、1985年から1987年および1993年から1995年をそれぞれI期、II期およびIII期として素集計を行なった。 その結果年齢調整平均収縮期血圧は男女ともI期からIII期にかけて低下傾向を示した。また拡張期血圧は男性では上昇傾向をしめし女性ではほぼ不変であった。血圧と脳血管疾患死亡率との関連はI期において男性の収縮期、女性の拡張期血圧と有意な正の相関が認められた。また、II、III期になるにつれ相関係数が低下する傾向を示した。血圧の低下度と脳血管疾患死亡率の低下度の関連を検討した。男性においては血圧の低下が大きい県ほど脳血管疾患死亡率の低下が認められた。一方女性には一定の傾向がなかった。
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