川崎病の急性期に存在した心障害が1年後にどのくらい残存するかを明らかにし、1年後の予後に影響を及ぼす要因として性、年齢、再発の有無、急性期の臨床検査成績(ヘマトクリット値、白血球数、好中球割合)、ガンマグロブリン治療方式などの意義を明らかにすることを目的として行った。 第15回川崎病全国調査で患者数が2年間で30以上の施設に調査を依頼し、協力の得られた93施設における1998年に報告された患者2013人を調査対象とし、1年後の状況と、心後遺症の有無(1年後の超音波または血管造影所見)を調査した。 平成13年度は施設を抽出し調査協力の依頼をした。調査票を送付し、得られた情報と全国調査のデータを結合し、急性期の心障害、1か月後、1年後の心後遺症の有病率を算出した。また、年齢、性、再発の有無、急性期の検査所見、治療方式別にみた急性期、1か月後、1年後の予後の評価を行った。 急性期心障害の有病率は16.8%、1か月後心後遺症は6.6%、1年後心後遺症は3.2%であった。どの時点でも、男が女に比べて高く、1歳未満と5歳以上で高かった。ヘマトクリット値は、急性期では30.0〜39.9%で心障害の有病率が低かった。1か月後、1年後も急性期と同じであった。白血球数は、急性期では1500/μlから心障害の頻度も高くなり、1か月後では20000/μl以上で高かった。1年後は白血球数が多いほど心後遺症の頻度が高かった。好中球割合は70.0%以上では割合が高いほど心障害の頻度が高く、1か月後、1年後の心後遺症も同様であった。再発の方が初発に比べてどの時点でも心後遺症の頻度が高かった。対象者の85.3%はガンマグロブリンの治療を受けており、投与ありがなしに対して、急性期の心障害の頻度、1か月後の心後遺症の頻度が高かったが1年後の心後遺症ありは投与ありに比べ、なしの方が頻度が高かった。
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