研究概要 |
本研究では,これまでの職業性ストレスモデルと心理的ストレスモデルとを統合し,職場要因と個人要因の双方を考慮したストレスモデルの設定とその検証を行うことが目的であった. 初年度である本年度は,職業性ストレスモデルの中で最も代表的な「仕事の要求度-コントロールモデル」を取り上げ,本モデルと個人要因としての心理学的諸概念との関連についての文献をレビューした.その結果,仕事の要求度-コントロールモデルに影響を及ぼす個人要因として,(1)Locus of Control,(2)自己効力感,(3)コーピング(対処行動),(4)コントロール欲求,(5)曖昧さへの耐性,などが抽出された.レビューの成果は,論文「職業性ストレス:理論モデルと実証研究」(ストレス科学16巻2号,印刷中)として公開される予定である. 次に,文献のレビュー結果に基づき,要求度-コントロールモデルと心理的ストレスモデルとを,コントロールを鍵概念として統合し,「職場環境におけるコントロール」「対処行動としてのコントロール行動」「Locus of Control」の各要因をつなぐ概念モデルを構成した. 現在,質問紙調査票の作成が終了し,3月中旬に,都内の出版社従業員約200名を対象に調査を実施するための最終作業を行っている. なお,今回の調査結果は,本年8月に開催される国際行動医学会にて発表する予定である.
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