研究概要 |
1997〜98年に、福井県内の入院・通院患者より、精神科医によりアルツハイマー病と診断された70歳以上の高齢者70人を抽出し、コントロールとして、同一地域内の在宅の70歳以上の高齢者より性別をマッチさせた140人の痴呆でない者を抽出した。対象者の既往歴・現病歴・家族歴、日常生活自立度、介護状況、生活習慣を聴取し、栄養学的指標として、血清中の総タンパク質、アルブミン、脂質(コレステロール、中性脂肪、アポリポプロテインなど)を測定した。痴呆の有無や程度は、HDS-R、MMSE等の知的機能検査によって確認した。CT等の画像検査が実施可能な者については、その結果も聴取した。対象者には、調査の趣旨を説明し、同意を得て血液を採取しDNAを抽出した。 1、解析対象者 調査参加者は、痴呆患者63名(男20名、女43名)、コントロール138名(男50名、女88名)であった。平均年齢は男76.3歳、女77.8歳。コントロール群のHDS-R平均点数は27.0/30点であった。コントロール群でもHDS-R20点未満ものが4名いた。DNAを抽出のための血液採取は痴呆患者群63名、コントロール群137名から行った。 2、遺伝子多型の解析 アポリポプロテインEの遺伝子型をPCR-RFLP法により解析したところ、ε3/4およびε4/4の頻度はコントロール群より患者群が高い結果であった。シナクレイン遺伝子型の検索条件を検討したが、遺伝子型の同定は困難であった。現在アルデヒド脱水素酵素の遺伝子型を解析中である。 3、遺伝子多型と他の因子の関連 高性能コンピューター(HOTACH製DT5171)を使い、血液生化学値、既往歴、生活習慣などと遺伝子多型の関連解析を行った。コントロール群内で、アポリポプロテインEの遺伝子ε3/4およびε4/4を持つ者は他の遺伝子型の者より、ApoB, ApoEの濃度が有意に低かった。
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