研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)患者滑膜細胞由来cDNA発現ライブラリーよりRA患者関節滑液由来抗体を用いその抗原抗体反応により単離されたRBP1類似蛋白質(Rbik)cDNAは,3'側のコード領域を欠失していた.完全長のcDNAを得るため3'RACE法を行った結果,poly A付加シグナルを含む3'欠失断片のクローニングに成功した.poly A付加シグナルは'AATAAA'でなく'GATAAA'のバリアントタイプであった.この3'cDNA断片はPCR産物であり塩基配列のミスインコーポレーションがありうるため,さらに独立した5つのクローン全ての塩基配列を解読し確認した.再構築したRbik cDNAの全長は4405bpで91kDa(803aa)の新規蛋白をコードしていた(DDBJ/EMBL/GenbankにAB030181として登録済).その蛋白はRB蛋白と結合し機能を修飾すると考えられているRB結合蛋白質1(RBP1)とアミノ酸配列において36.5%のホモロジーを有していた.ノーザンブロット法による遺伝子発現解析ではRbik遺伝子は滑膜のみならず各種臓器で発現していた.N末端にFLAGエピトープを付加したRbik蛋白のcDNAを真核細胞発現ベクターに組み込み,滑膜細胞株SF-1に移入し3つの形質転換株を得た.この3つのRbik cDNA導入株全てが野生株および3つのmockコントロール株と異なり,培養生育中接触抑制下で核酸合成の低下を認めなかった.尚形態の変化は認めなかった.現在接触抑制の詳細,細胞周期の変化等を観察している.またRbik蛋白精製を目的にGST融合Rbik蛋白cDNAを大腸菌発現ベクターに組み込み,リコンビナントRbik蛋白発現系を組みたてた.リコンビナント蛋白を用いたイムノブロットにより,24%(7/29)のRA患者でその血清中に抗Rbik抗体が検出された.現在RAにおける抗Rbik抗体の検出と病態との関連を検討している.
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