研究概要 |
1.病因遺伝子産物の機能解析 慢性関節リウマチ(RA)疾患遺伝子としてこれまでに同定していたDb1プロトオンコジーンのエクソン23,24欠損型スプライスバリアントをクローニングし正常野生型と共に生化学的機能比較を行った。具体的にはRhoファミリー低分子量Gタンパク質RhoA, Rac1, Cdc42に対する各Db1のGDP/GTP交換活性を[^3H]GDP結合量を指標に測定したところ、エクソン23,24欠損型Db1ではCdc42に対する交換活性が約60%低下していることを明らかにした。 今後患者検でのCdc42活性化程度や、Cdc42下流のシグナル伝達経路、例えばアポトーシス制御やアクチン重合制御を検討し、RA病態形成との関与を解明する。 2.遺伝子変異解析 Db1ゲノムDNAの配列分析を家系発症患者、孤発発症患者において行い、患者集団に有意な新規一塩基変異をnt2522+394(C→T)、nt2632+106(T→G)、nt2632+211(A→C)およびnt2745+576(G→A)の4個所見出した。これらのうち後者3個所はほぼ同時に変異しており、家系発症患者群で有意に健常群より変異率が高かった。さらにこれらを簡便に診断可能なPCR-RFLP法による遺伝子診断法を開発した。これらのエクソン脱落に及ぼす影響をエクソントラップ法により検討したところ、これら変異によりエクソン脱落が生じることが確認された。 今後見出した変異部位に結合するスプライシング制御DNA結合性タンパク質を探索し、遺伝子変異とDb1エクソン23,24欠損の生じる因果関係を解明する。 以上
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