研究概要 |
本年度は抗U1RNP抗体陽性CD40リガンド(CD40L)欠損MRL/Mp-Faslprマウス(MRL/lprマウス)および野生型MRL/lprマウス脾細胞から,抗U1RNP抗体の産生をin vitroのみならずin vivoにおいてもヘルプするCD4+αβTh1細胞(G2およびrnp2)を分離した。クローン化したrnp2(CD40L+/+, Vβ14), G2(CD40L-/-, Vβ10)を,PBSおよび抗dsDNA抗体の産生に関与すると考えられるdna51(CD40L+/+, Vβ8.3)をコントロールとしてMRL/lprマウスに移入し,血清中の抗U1RNP抗体価および皮膚・肺・腎組織所見を調べた。a-(IL-2による活性化),i-(IL-2による活性化後に放射線照射)rnp2あるいはi-G2を移入することにより皮膚病変は拡大したが,後背部皮下のリンパ球浸潤はa-, i-によらずすべての細胞移入群でPBS群に比し著明となった。一方でa-, i-によらずrnp2あるいはG2の移入により肺血管炎と間質性肺炎は変化しなかった。またa-rnp2の移入により間質性腎炎が増悪した。しかしi-rnP2あるいはa-, i-G2の移入により腎病変は変化しなかった。以上より,MRL/lprマウスの病態に関与する抗U1RNP抗体産生性T細胞は存在するが,同じ抗体産生性を持ったTh1細胞でもCD40L発現,移入前の放射線照射の有無により,細胞移入による病態への関与の仕方が異なると考えられた。 本年度は,これらの成績をふまえ,これらのT細胞のレセプターペプチドの作成と導入を行う予定である。
|