がん細胞の転移、浸潤の克服に重要な役割を担っている基底膜分解酵素、その中でもヘパラン硫酸分解酵素(ヘパラナーゼ)の活性を阻害し、がん細胞の転移、浸潤抑制することが、がんの克服に重要と考え、研究を進めているところである。 現在、がん細胞の転移、浸潤を抑制すると予測されるヘパラナーゼ活性阻害物質を生体内で検索、単離、クローニングし、その性質を明らかにするための実験を行っている。RT-PCRの結果から、ヘパラナーゼは、正常のCOS-7細胞などでは、発現されていないことがわかったので、ヘパラナーゼをtransfectionし、大量発現させた細胞から、ヘパラナーゼの精製を行うところがら始めた。生体内のどの部位にヘパラナーゼ活性阻害物質が、多く含まれているかをヘパラナーゼの分解能をみるHeparen Degradation Enzyme Assayを用い、検討しているところである。今後は、実験動物等においてクローニングしたヘパラナーゼ阻害物質のがん細胞の転移、浸潤抑制能の検討をしていく予定である。 また、ヘパラナーゼと相互作用する物質を検索する方面からの研究も行っている。この研究に当たっては、大腸を宿主とするtwo-hybrid systemを用い、まず、このBacterioMatch Two Hybrid SystemによりCNA libraryから検出されてきたいくつかの物質の同定を行った。そして、その同定された物質とヘパラナーゼとの相互作用についての解析はまだ現在検討中である。
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