β-カテニンチロシンキナーゼの同定を目的に、始めにヒトβ-カテニンのクローニングを行っている。informed consentのうえ書面で承諾を得た後、healthy volunteerの肝組織のホモジュネートよりphenol-chloroform法にてtotal RNAを抽出した。引き続きpoly Aカラムを用いてメッセンジャーRNAを回収した。次に得られたメッセンジャーRNAより逆転写酵素にてcDNAを作製した。Gene Bankの情報に基づいてプライマーをデザインし、cDNAをtemplateとしてDNAポリメラーゼの存在下にPCR法を行い、β-カテニンcDNAの作製を試みた。しかしながらプライマーのデザインを含め、至適PCRの条件の決定に相当な時間を要した。当初、約2000塩基の連続したcDNAを得る計画であったが、PCR法の結果よりcDNAは4分割の状態で得られた。PCR法で得られたcDNAの塩基配列が正しいことを検証するためダイレクトシークエンスを行ったところ、数カ所に異常が発見された。このため現在site directed mutagenesis法により修正を行っている。 今後は完成したβ-カテニンcDNAを制限酵素で切断し、GST-fusion proteinを発現するpGEXベクターに組み込み、これを大腸菌にトランスフォーメーションする。大腸菌をIPTG存在下に大量に培養し、アルカリ環境下でGST-fusion β-カテニンのみをGlutathion affinity chromatographyを用いて精製・分離し、in vitroキナーゼアッセイに供する予定である。
|