研究概要 |
HBXはin vitroにおいて転写活性やその他様々な機能を有するが、in vivoにおける機能については不明である。そこで申請者Woodchuck animal modelを用いた、WHVXのmutational analysisにより、in vivoにおけるX遺伝子のbiological effectを検討した。感染性クローンであるWHV8(WT)に変異を導入し、XORFにある3つの開始コドンをそれぞれノックアウトした変異株(Xlg-,Xmd-,Xsm-)、N側のtruncation(XRN-)、in vitroの検討で転写活性にとって機能上重要とされる二つの領域のアミノ酸変異株(XG67S, XP68A, XG132V, XH135D)を、それぞれ作製した。変異株の持つ複製能と転写活性をin vitroで調べた後、Woodchuckにinoculationし、経時的なSerological testとPCRによるin vivoにおける感染成立の評価と、virionの遺伝子解析を行った。さらに一部のanimalには24週後に感染プール血清を投与し、感染を防御できるか(challenge test)についても検討を加えた。その結果、Xmd-,Xsm-ではWTの50%程度、XRN-は40%程度で転写活性を持っていたが、他の変異株はほとんど転写活性を持っていなかった。複製能はWTと比較するとXmd-とXsm-で50%、Xlg-では10%であった。Woodchuckへの感染はWTと、Xの機能が比較的保たれているXmd-,Xsm-においては全例で認められた。他の変異株についてはいくつかの動物でのみ血清学的な感染が確認されたが、さらに行ったPCRによる検討により、ほぼ全ての動物でVirionが検出され、in vitroにおける複製が確認された。感染した動物のVirion X遺伝子の解析では、Xmd-とXsm-以外、導入した変異がWTに復帰していた。challenge testでは、Xlg-を含めX mutantが感染を防御した。以上のことより、In vivoにおいてもproductiveな感染にはX遺伝子の持つ機能が重要である。また、X-deficient virusはattenuated virusとして感染し、immunological primingも可能であり、今後もワクチン療法への使用を含めて検討が必要である。
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