平成13年度の研究成果として以下のことが明らかになった。 1、ELISA法を用いて肺癌患者血清中サイトケラチン8を定量した結果、正常コントロール群に比較して有意に高値を示した。また病期の進行した患者群におけるサイトケラチン8は早期の患者群と比較して有意に高値を示していた。さらに血清サイトケラチン8濃度が50ng/ml以上の患者群とそれ未満の患者群を比較した結果、50ng/ml以上の群は有意に予後が不良であった。 2、定量的RT-PCRを用いて肺癌培養細胞株でのサイトケラチン8遺伝子発現量を検討した結果、非小細胞癌株における発現量は小細胞癌株に比して有意に高値を示していた。また、培養上清中のサイトケラチン8蛋白の定量結果も同様であった。非小細胞癌株の中では扁平上皮癌株と腺癌株の間に発現量の差は認められなかった。 以上の結果から肺癌患者血清中のサイトケラチン8の定量が新たな非小細胞肺癌の腫瘍マーカーとして有用である可能性が示唆された。現在これらを論文としてまとめ、海外の医学雑誌に投稿中である。
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