研究概要 |
[方法]アトピー性喘息患者の末梢血単核球を抗CD3抗体で刺激し、フローサイトメトリーにてIL-10およびIL-4,IFN-γの産生CD4^+T細胞比率を測定した。また各患者における喀痰中の好酸球比率や呼気NO濃度、気道過敏性、および吸入ステロイド使用量を検討した。患者を軽症、中等症、重症に分け、各パラメータについて検討した。 [結果]重症度が進むほど高用量の吸入ステロイドが使われており、重症群では高用量ステロイド使用下でも喀痰中好酸球増多は抑制されておらず、気道過敏性亢進も軽症群、中等症群に比べて顕著であった。IL-10産生CD4^+細胞はCD45RO^+CD54^+の活性化メモリー細胞群にほぼ限られて認められた。刺激後のIL-10産生細胞比率は軽症、中等症群ともに健常者群と同程度に保たれていたが重症群では有意に低値であった。IL-4およびIFN-γ産生細胞比率は軽症群と重症群とで差はみられなかった。さらにin vitroにおけるデキサメサゾン(10^<-7>M)によるサイトカイン産生抑制効果はIL-10,IL-4,IFN-γ産生細胞のいずれにおいても軽症群と重症群で差はみられず、T細胞レベルでのステロイド感受性は保たれていた。 [考察]重症難治性喘息患者ではCD4^+T細胞におけるIL-10産生が選択的に低下していた。その低下は高用量ステロイドの修飾効果によるものではないことから、治療抵抗性の成立に寄与し好酸球性気道炎症を遷延させているものと考えられた。また、持続する気道炎症が気道過敏症のさらなる亢進に関与している可能性も示唆された。現在、論文にまとめて投稿中である。
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