研究概要 |
今年度は、Sprague Dawley系雄惟ラツト(7週令)を、ハロセン吸入麻酔行ったうえ、LPS(E.coli)を気管内噴霧投与した。3,6,18,24時間経過後の肺組織障害程度を、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総細胞数、細胞分画、またミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を調べた。この結果、各測定値は、6時間をピークと示していた。このことから、LPS気管内投与後、室内気環境下(LPS+室内気群)または、NO(20ppm)曝露下(LPS+NO群)6時間後の変化をBALF、MPO活性そして抗ニトロチロシン抗体と抗クロロチロシン抗体による免疫組織染色で比較検討した。結果、LPS+室内気群において増加・上昇した各値は、NO吸入下で有意に減少していた。また、免疫組織染色では、ニトロチロシン、クロロチロシンともに減弱していた。抗クロロチロシン抗体によるは現在測定系を立ち上げでいるところである。しかしながら、現在までの結果から、肺組織障害におけるチロシンのニトロ化については、MPOを介する系が強く関与していると考えられ、またNO吸入によりこのニトロ化、クロロ化が減弱、すなわち組織障害を抑制する可能性が示唆された。 今後、Western blot法でのクロロチロシンの同定を確立し測定すると同時に、各種炎症性呼吸器疾患におけるチロシンのニトロ化とクロロ化を調べ、その特異性について検討する予定である。
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