本年度は、まず気道の収縮について検討しました。運動誘発喘息では、乾燥冷気の吸入が気道収縮を生じる誘因の一つと考えられていますが、実際に冷気の吸入により、どの程度気道内が冷却されているかは、あまり検討されていません。特に、気道内の温度変化を連続的に測定した研究はありません。そこで、イヌに2℃程度の冷気を吸入させ、気管内の温度変化を連続的に測定しました。冷気により気管内の温度が低下するのは比較的短い時間であり、冷気の吸入に対して、気管は低抗性を持っていることが明らかとなりました。この結果を論文とし、日本呼吸器学会雑誌へ投稿し、現在は査読結果を待っています。 次に、気道の収縮と迷走神経の相関を検討しました。迷走神経の分枝である傍反回神経の活動を検討することにより、気管の収縮が傍反回神経の活動により、呼吸に同期して生じていることが見出されてきました。次に、胸郭内の迷走神経肺枝の活動と気管支の収縮について検討を行いましたが、prepalationが技術的に非常に困難であり、次年度の課題となりました。
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