今回の研究において以下の新しい知見が得られた。 1)各種呼吸器疾患患者における血中adrenomedullin濃度の検討 藤田保健衛生大学医学部呼吸器内科・アレルギー科に入院した呼吸器疾患を有する49名の患者(肺癌患者16名、細菌性肺炎患者13名、間質性肺炎患者4名、ARDS患者3名、気管支喘息患者3名、慢性肺気腫患者3名、好酸球性肺炎患者2名およびその他じん肺等患者5名)と健常者10名に対して、末梢静脈より採血を行いRIA法を用いて血中adrenomedullin濃度を測定した。同時に、各種血液生化学検査を行った。 その結果、呼吸器疾患患者の血中adrenomedullin濃度は33.1±5.7fmol/mlと健常者の14.0±1.1fmol/mlに比較し有意に高値を示した。疾患別には、ARDS、急性肺炎および肺癌患者にて健常者に比較し高値を示した。特にARDS患者にて著明に高値を示した。また、炎症の指標である血清CRP値との間に相関係数0.64と有意な正の相関関係を認めた。更に、肺傷害の指標である血中LDH値との間にも相関係数0.38と有意な正の相関関係を認めた。 以上の結果より、血中adrenomedullinは炎症性呼吸器疾患の炎症機序に深く関わっているものと考えられ今後更なる研究が必要と考えられた。
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