Dahl食塩感受性ラットを用い、Isolated diastolic heart failureモデルを作成し、ACE阻害薬、抗アルドステロン薬およびその併用効果について検討した。7週齢から8%のNaClを含有する高食塩食をDahl食塩感受性ラットに投与し、高血圧によるIDHFを作成。IDHFをplacebo、ACE阻害薬(Imidapril 1mg/kg/day)、抗アルドステロン薬(Spironolactone 2mg/kg/day)およびACE阻害薬と抗アルドステロン薬併用群に分割し、薬剤を投与し、16週齢で心エコーを用い心機能を測定した。その後、左室重量と肺重量等を測定し、病理組織像を検討した。左室肥大指標の左室重量/体重はplacebo投与群(n=6)が4.06±0.65mg/g、ACE阻害薬投与群が3.45±0.32mg/g、抗アルドステロン薬投与群が3.7±0.39mg/g、併用群が3.33±0.35mg/gであり、placebo投与群に比較し、併用群では左室肥大が有意に改善していた。肺うっ血指標の肺重量/体重は、placebo投与群が8.03±4.39mg/g、ACE阻害薬投与群が5.05±1.17mg/g、抗アルドステロン薬投与群が6.25±3.59mg/g、併用群が4.59±0.61mg/gであった。心不全薬投与群ではplacebo投与群に比べ、肺重量/体重は小であったが、各群間に有意差は認められなかった。また、心エコーによる左室収縮機能は、各群間に有意差を認めなかった。高血圧によるIDHFにおいて、ACE阻害薬と抗アルドステロン薬を併用投与することにより、左室肥大を改善させ、拡張性心不全を軽減することが推測された。
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