研究概要 |
本研究では,リハビリテーションの臨床評価に活用できる,簡便かつ客観的な局所血流の評価法を検討するこを目的とした.二次元血管モデルでの基礎検討を実施し,電磁誘導を活用した非侵襲的な血流計測システムの構築と基礎的検討を行った. (1)二次元血管モデルでの基礎検討:アナコンペーパー(面積抵抗:約1kΩ□)にて5倍の前腕遠位断面2次元モデルを作製し,血管にて誘起された起電力と体表で検出される電圧の関係について検討した.その結果,血管から体表までの距離が2mm,血管径が2mmとした場合,実際の計測では最適な電極間距離は5〜7mmであり,橈骨動脈付近に誘起された電圧の約30%が検出されると予想された. (2)非侵襲的血流評価(表面電磁型血流センサー)システムの構築:双極性電極(Ag-AgCl)前腕遠位部にて橈骨動脈拍動部上に貼布し,励磁コイル(巻数:1,800),フェライト(芯材)で構成した交流磁界ユニットを設置した.交流電流,周波数約500Hz,150mAにて励磁し,磁束密度約50Gを血管に印加した.検出された誘導電圧は約80dB増幅し,500HzのBPFにて励磁電流と同じ周波数の信号のみを取り出し,実行値変換することで血流(拍動)波形を得ることができた. (3)最適な電極幅の検討:電極幅を6mm,8mm,10mmと変化させて被験者10例(男5,女5)に対して計測を実施した.6mmでは10例中7例,8mmでは10例中全てで10mmでは6例で拍動波形の計測が可能であった.拍動のピーク値の平均は6mmで約8mV,8mmで約17mV,10mmで約15mVであった.以上から,10例中7例において最大のピークが検出された8mmが実測においての最適電極幅であることが確認された.また,血管径や血管と体表面の距離の変化に伴って最適幅も変化するため,相対的な評価としての活用が望ましいことが示唆された.
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