【目的】8-9週齢の雄性Wistar ratの抵抗血管intact fiberとα-toxin処理skinned fiberにおいて、17β estradiol(E2)とestrogen receptor阻害薬のtamoxifenそしてTSを用い、estrogenとtestosteroneの細胞内Ca-収縮蛋白系への影響をみた。 【方法】ラット上腸間膜動脈第1-2分枝(直径約200μm)輪状灌流標本を作製し、(1)30mM高カリウム液(高K)、10mM Caffeine(Caf)そして1μM norepinephrine(NE)の血管収縮反応に及ぼす10μM E2と5μM tamoxifenおよび1μM TSの影響を検討した。(2)50μg/ml Staphylococcal aureusα-toxinの15分間暴露によりskinned fiberを作製し、Ca-EGTA bufferによる0.1μM Ca収縮反応に及ぼすE2とtamoxifenおよびTSの影響をみた。 【結果】(1)生筋において高K、Caf、NEの収縮反応は、10μM E2により弛緩、1μM TSにより増強した。5μM tamoxifenはそのE2による収縮減弱作用を有意に阻害した。(2)α-toxin処理skinned fiberでは、Ca収縮反応はE2により減弱、TSにより増大した。tamoxifenはそのE2の収縮減弱作用を有意に抑制した。 【総括】生筋において高K、Caf、NEによる異なった機序での細胞内Ca上昇に伴う血管収縮反応はE2により弛緩、TSにより増強し、tamoxifenはE2刺激による収縮減弱作用を阻害したことは、estrogenおよびtestosteroneの細胞内Ca-収縮蛋白系への関与が考えられ、さらにα-toxin処理skinned fiberにおいても、Ca収縮反応はE2により減弱、TSにより増大し、tamoxifenはE2刺激時の収縮減弱作用を有意に抑制したことより、ラット抵抗血管における収縮蛋白のCa感受性はestrogenにより減弱し、一方testosteroneにより増大する可能性が示された。
|