本年度はルイスラットの心臓よりmRNAを抽出し、上記96個アミノ酸をコードするDNAをRT-PCR法にて増幅した。増幅した心筋ミオシン重鎖とタンパク発現ベクターと、リコビンナントDNAを作成し、大腸菌にてタンパクを発現させ、目的タンパクを精製した。また、DNAレベルにおいて制限酵素用いて細分化したタンパクも同様に形質発現させた。その後、生後6週の雄ルイスラットに精製タンパクを完全クロイドアジュバントと混和し感作した。この実談ラットを経時的に屠殺し検索した。各々のリコンビナントタンパクの心筋炎惹起能を検索し、そのアミノ酸一次構造の絞り込みを行った。しかし、結果的に絞り込まれたアミノ酸は1124-1153の30アミノ酸でありそれ以上エピトープを絞り込むど心筋炎は惹起されなかった。そこで同部位を含む3つの合成ペプチドを作成(各20AA)を作成し感作実験を行ったところ心筋炎は発症されなかった。同モデルは細胞性免疫である事が既知であり、三分子複合体モデルを考慮するとエピトープが局在しているはずの20アミノ酸配列で心筋炎が発症されない事実はアミノ酸一次構造以外の要因が関与している事が強く示唆された。従って、一次構造以外の要因が自己免疫応答に関与している可能性が示唆され、研究目的であるアミノ酸側鎖に注目する意義が深くなった。次年度は各々のペプチドを質量分析器にて解析し、アミノ酸側差の差異を計測検討したい。
|