1.細胞増殖因子などによる心筋細胞分化誘導効率の検討 最終分化誘導前のCMG細胞を5〜20%ウシ胎仔血清の存在下で培養し、心筋細胞への分化の有無を各細胞増殖因子などの添加後4週まで観察した。その結果、5、10ng/mlのTGF-β_1の単独添加後2週の時点において、RT-PCRレベルでNkx2.5/Csxおよびミオシン軽鎖-2v mRNAが弱く発現していた。ただし、心房Na利尿ペプチドmRNAの発現はなく、MF20(抗sarcomeric myosinモノクローナル抗体)による免疫染色では染まらず、細胞の自己拍動も認めなかった。BMP-2、Activin A、FGF-1/2、IGF-1、LIF、CT-1、PDGF-BB、HGF、EGFの単独添加による心筋分化誘導能は認められなかった。今後は各細胞増殖因子などの併用投与あるいは5-azacytidineとの併用投与を行い、分化誘導能の相加/相乗効果について解析する予定である。 2.細胞外基質による心筋細胞分化誘導効率の検討 分化誘導前のCMG細胞を5〜20%ウシ胎仔血清の存在下で培養し、5-azacytidine(3μM)で最終分化誘導を行った。ファイブロネクチン20γ/mlで30分間前処理した培養皿を用いたところ、4週の時点における心筋分化誘導効率は対照群と比較して若干増加したが有意差を認めなかった。なお、コラーゲン、ラミニン、N-カドヘリン前処理の培養皿では有意な変化を認めなかった。
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