研究概要 |
1)圧負荷肥大心モデルの作成と心機能評価:心肥大期モデルとしてWistarラットの腹部大動脈縮窄術を施行し、圧負荷心不全期モデルとしてDahl食塩感受性ラットを8%高食塩食にて飼育した。各圧負荷ラットにおいて心エコー・ミラーカテーテルを用い心機能・形態を評価した。2)圧負荷心リモデリングの評価:摘出心を用い左室重量/体重比により左室肥大を組織染色法にて心筋細胞肥大・心筋線維化を確認し、コンピューター画像処理にて肥大率・線維化率を定量評価した。圧負荷による心筋細胞肥大と心筋間質線維化・心筋脱落所見を観察し、左室拡張障害出現後に収縮不全が血行動態上観察され圧負荷ラットにおける心リモデリングを認めた。3)心リモデリング過程における細胞増殖・細胞死の検討:圧負荷心における細胞形態変化を免疫組織染色法により検討した。細胞周期マーカーであるPCNA陽性細胞は圧負荷早期の心筋間質に一過性の発現を認め、これらの細胞は共焦点レーザー顕微鏡を用いた二重染色法にて主にα smooth muscle actin陽性のmyofibroblastである事が観察された。また、アポトーシス関連蛋白(bcl-1,bax, cdk)も同様の一過性発現が認められ、これらの細胞の主体は間質細胞であったが一部の心筋細胞にも認められた。4)炎症細胞浸潤の評価:心リモデリングにおける炎症細胞の意義を免疫染色法にて検討した。圧負荷1-3日目の心筋内小血管から血管周囲にMΦ主体の炎症細胞浸潤が認められ、これらの反応は細胞増殖時期に先行して認められた。5)ケモカイン/サイトカインの関与:圧負荷心リモデリング進行過程における炎症/細胞増殖反応にMCP-1/TGF-βの関与をノザンブロット法にて検討した。MCP-1 mRNAは圧負荷1-3日目、TGF-β mRNAは圧負荷3-7日目に発現のピークを認め、心リモデリング過程での関与が認められた。
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