1 低濃度All-trans retinoic acid及びHX600(RXRアゴニスト)を用いて、UF-1細胞をレチノイド各濃度存在下で培養し、形態、CD11bの発現、及びNitroblue tetrazolium(NBT)還元能を計ることで分化とアポトーシスの程度を評価した。結果、双方のレチノイドとも単独ではUF-1細胞に変化を与えないが、併用すると分化とアポトーシスが誘導されることが判明した。これらの事実より、UF-1における分化とアポトーシス誘導には、RARα及びRXRの双方の活性化が重要であることが示された。 2 高濃度All-trans retinoic acidにて、UF-1細胞を刺激して、分化とアポトーシスを誘導した。そして、この誘導の過程で、フローサイトメターによる以下の実験を行った。分化の指標としてPE標識抗ヒトCD11b抗体を、アポトーシスの指標としてFITC標識アネクチンVを用い、プロピディウムヨーダイド(PI)と共に3重染色し、FACScanにて解析を行った。結果、アネクチンV陽性、PI陰性の初期アポトーシス細胞の中に少数ではあるがCD11b陰性細胞群が存在することが明らかになった。これらの細胞をソーティングして、その形態を確認したところ、分化に至らない未熟な形態を呈していた。これらの結果より、UF-1細胞には、All-trans retinoic acidの刺激によって、分化を経ずにアポトーシスが誘導される細胞群が存在することが明らかとなった。 これらの結果から、ATRA以外のレチノイド刺激の反応性を通して、UF-1はATRA耐性解除のin vitroモデルとなり得ることや、ATRAによるAPL細胞のアポトーシス誘導が、分化誘導以上にATRA療法において重要であることが、考えられ、研究を進めている。
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