平成13年度は、リコンビナント蛋白を用いたMyD88の立体構造解析を行うために、ヒトのMyD88発現ベクターの構築を行った。MyD88は36kDほどの大きさがあるため大腸菌を用いた発現系、哺乳類の細胞での発現系では、構造を保ったまま精製を行うのは難しく、困難であった。このため全長を2つのドメインに分けDeath DomainとToll-like Interleukin 1 receptor (TIR) Domainとして発現させるべく発現ベクターの構築をおこなった。いくつかの発現ベクターを構築し、大腸菌での発現量を比較し、高発現量を確保できる発現系について検討を加えた。また、哺乳類細胞における発現系、酵母を用いた発現系についても検討した。さらにそれに加え精製法についても検討している。現在、安定同位体ラベル、大量高純度精製系の確立を行う段階である。これらが確立され次第、15Nラベル体、15N・13Cダブルラベル体を用いて多次元NMR法による各種相関スペクトル解析を行い、そのデータを用いた構造解析に取り組む予定である。 また、リガンド・レセプター複合体の構造解析を行うためにIL-18レセプターリコンビナント蛋白の発現についても検討中である。現在までにレセプター蛋白のcDNAをクローニングし、ドメインの一部は発現ベクターを構築している。今後、発現・精製系の確立・最適化を行っていく予定である。その後、リガンドと同様に安定同位体ラベルして蛋白を作成し、同様の手法を用いて解析を行う。
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