研究概要 |
三重県の最南端に位置し、少子高齢化が全国的にも最も進んだ紀南地区において、小児に対する救急医療の実態とニーズを把握するため、平成12年7月1日から平成13年8月31日の間に当該地域中核病院である組合立紀南病院において救急外来を受診した15歳以下の小児患者について次の項目につき、後方視的に調査した。外来カルテから、来院年月日、時間、主訴(来院理由)、病名、患者住所、治療、転帰、救急車使用の有無、診察医の各項目について、SPSSを用いて統計処理を行った。コントロールとして隣接する和歌山県新宮市の新宮市立医療センターにおいて、平成13年5月2日から8月31日に救急部を受診した15歳以下の小児を対象に、同じ項目について調査し、ケースコントールスタディとした。調査結果の詳細については現在解析中である。 結果:紀南病院救急外来延べ受診者数 2,094人 新宮市立医療センター救急部延べ受診者数 595人 同上期間の紀南病院救急外来延べ受診者数 673人 調査を行った二病院は時間的に30分も離れておらず、受診患者の社会的な環境がよく似ていると考えられる。 また、紀南病院小児科を時間内に受診した母親を対象に、当該地域のおける小児医療についてアンケート調査行った。紀南病院を時間外に受診した場合、最初に診察をするのは小児科ではなく、当直医師であることに不満が挙げられていたが、重症と考えられるケースは小児科医が呼ばれており、調査の範囲内では小児科医以外が小児救急患者を診察する医療的なデメリットは認められなかった。 今回の研究を通じて行政と連携を図るべく、紀南母子保健推進協議会を通じて、保健所、学校教育委員会、県と協調し、出生後より義務教育終了までの期間、調査地域に在住するこども達の疾病罹患歴、乳幼児健診歴、予防接種歴、養育環境などをフォローするための委員会の整備を行った。
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