先天性高乳酸血症は細胞内エネルギー代謝のいずれかの部位に異常が存在する症候群である。その中でチアミン反応性高乳酸血症ではチアミンを補酵素とする酵素の異常かチアミン代謝の異常が推測される。予後不良な例が多く治療法は確立していない。また、ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症以外についての研究は進んでおらず、チアミン自体の代謝異常が先天性高乳酸血症の原因となるかはわかっていない。本研究では (1)臨床的にチアミンが有効であった先天性高乳酸血症の6例の臨床データを検討した。その結果、頭部CTやMRIにおいて明らかな神経障害、また心エコーなどにおいて明らかな心筋症が出現する以前に治療を開始した例の予後が特に良いことが判明し、本症候群が疑われる症例においては迅速な乳酸値の測定とチアミン療法の開始が望ましいことが証明された。(投稿準備中) (2)小児においても侵襲が少なく用意に採取できる培養リンパ球を用いてチアミンを補酵素型のチアミン二リンに変換するチアミンピロフォスフォキナーゼ活性の測定法を確立させた。(投稿準備中) (3)チアミン反応性高乳酸血症例において、培養リンパ球を用いてチアミンピロフォスフォキナーゼ活性を測定した。同酵素の異常は発見されなかった。 (4)チアミンピロフォスフォキナーゼをコードする遺伝子hTPK1に異常がないかどうか培養リンパ球から抽出したDNAをPCR法を用いて増幅して塩基配列を決定したが異常は発見されなかった。 (4)チアミンピロフォスフォキナーゼをコードする遺伝子hTPK1に異常がないかどうか培養リンパ球から抽出したDNAをPCR法を用いて増幅して塩基配列を決定したが異常は発見されなかった。 (6)チアミンが補酵素となるαケトグルタル酸脱水素酵素活性を培養リンパ球を用いて測定したが異常は発見されなかった。
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