乳幼児健診・ワクチン接種(10人)、気管支喘息(5人)、感染症(8人)、NICUフォローアップ外来(10人)に受診した母親を対象にストレス状態の把握を目的としたパイロット・スタディーを行った。GHQ総点(28点満点)の分布は、最小値0から最大値16まで幅広く、6.0点を中央値として、低ストレス群と高ストレス群に、2極化していた。GHQ28(区分点6点)で、高ストレス群を6点以上、低ストレス群を6点未満と定義し、疾患別に検討した。高ストレス群に属する割合をみると、乳幼児健診・ワクチン接種:40%、気管支喘息:40%、感染症:87.5%、NICUフォローアツプ外来:50%であった。調査前の仮説では、NICUフォローアップ外来の母親の精神健康度が悪いことが予想されたが、疾患に対する受容のステージまで至ると精神健康度は比較的良い状態であることが示唆され、そのポイントとして、主治医のインフォームド・コンセントの重要性が考えられた。逆に感染症は、インフエンザおよび感冒性胃腸炎が主であったが、精神健康度は、予想以上に悪く、本調査では、症例を増やし、ストレス要因を検討していくとともに、主治医への調査結果の還元を通して、インフォームド・コンセント等との関係性の検討が必要である。仕事との関係では、パートタイム(9人)とフルタイム(7人)の仕事をしている母親の高ストレス群の割合は68.7%、無職(9人)では33.3%と働く母親に高ストレス群が多いことがわかり、働く母親への支援が急務である。期待される子育て支援の要望は、小児専門の救急医療体制の整備(14人)、病児を受け入れる保育の推進(13人)、子どもの看護のための休暇制度の充実(10人)の順に多く、新エンゼルプランの推進が、親の子育てストレスの軽減につながることが考えられ、今後、小児救急を含め地域ごとの子育て支援体制の検討が必要である。
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