研究概要 |
私たちは、夏期の皮膚と比較して冬期の環境下においては健常人皮膚でも経表皮水分喪失量TEWL ; transepidermal water lossが増加し、皮膚のバリア機能が低下していることを示した。このバリア機能低下は、とくに常に環境に露出している顔面皮膚において顕著に見られた。これら皮膚生理パラメータの測定と同時に、皮表から角層細胞を採取してその面積を測定した結果では、冬期の顔面皮膚では角層細胞の面積が小さくなり、皮膚のターンオーバが亢進していることが示唆された(Winter season affects more severely the facial skin than the foream skin : comparative biophysical studies conducted in the same Japanese females in later summer and winter. Exogenous Dermatology, In press.)。またこれらの結果は、皮膚生体工学的手法などの非侵襲的方法が、臨床的には判断が難しいような軽度の皮膚の変化を客観的にとらえることができるということを示している。これらの結果をふまえ、平成13年度は、角層中の炎症性サイトカインであるIL-1α、そしてそのreceptor antagonistであるIL-1 receptor antagonistの定量、角層細胞のcornified envelopeの成熟度の評価などを行い、これら健常人の顔面皮膚で冬期に見られるいわゆる荒れ肌の状態が、臨床的にはとらえることが困難なsubclinicalな炎症を反映しているということを明らかにした。
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