現在、症状が軽い遺伝性対側性色素異常症(Dyschromatosis Symmetrica Hereditaria以下DSHと略。)患者の判定には、マイクロサテライトのhaplotypeを調べる方法と、ブラックライトにより脱色素斑をより明瞭にする方法がある。haplotypeによる解析は診断を行う人間の技量に関わらず正確な判定を行うことができるが、用いるマイクロサテライトマーカーと患者の組み合わせによっては有効な情報が得られない問題点があった。ブラックライト撮影は有効ではあるものの、より詳細な観察が正確な診断に必要とされた。 平成13年度はこれらの方法をより改良すべく、DSHのhaplotype診断に役立つマイクロサテライトマーカーの探索と、デルマトスコープを用いた詳細な観察法の開発を行った。マイクロサテライトマーカーの検索には、DSHの候補領域内の繰り返し配列をコンピュータプログラム"RepeatFinder"を用いて見つけ出し、PCRとABI社373XL DNA Sequencer、同社GENESCANを用い多型性、DSHとの関連について調べた。またDSHの候補領域内の遺伝子に存在するSNPもBeckman社のDTCS kitと同社のCEQ2000XL Genetic Analyzerを用いてダイレクトシーケンスを行い調べた。その結果繰り返し配列、SNPともに多型が見つかりhaplotypeによる診断の確実性がより高まった。今後は、haplotypeではなく患者個人のgenotypeのみで診断できる遺伝子マーカーを発見すべく研究を続ける。またデルマトスコープに関してはDSHと症状が良く似ている網状肢端色素異常症の患者の撮影を行った。今後DSH患者の撮影を行い、ゲルマトスコープによる鑑別診断法、及び色素斑、脱色素班の観察法の基準を作り上げたい。
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