アンドロゲンレセプター(AR)とそのコアクティベーターARA55の合成蛋白は試験管内で共沈した。成人男性の髭の毛乳頭細胞(DPCs)におけるARA55 mRNAの発現をRT-PCRにて明らかにし、マンマリアン2ハイブリツドアッセイによりDPCsにおいてもARとARA55が相互作用することを示した。MMTV-ルシフェレースをレポーターとして一過性トランスフェクションアッセイを行ったところ、DPCsにおいてARA55がARの転写活性を3.7倍に増強した。さらに、ARA55のドミナントネガティブとして働くARA55のC末端フラグメントはARの転写活性を34.9%まで抑制した。以上よりヒト前立腺cDNAライブラリーからクローニングされた新規コアクティベーターARA55は毛乳頭細胞においてconstitutiveなARのコアクティベーターとして働いていることが示唆された。さらに、男性型脱毛部のDPCsでもARA55は6〜7倍の子アクティベター活性を持ち、内因性にもARA55が高発現していることを半定量的RT-PCRにて明らかにした。昨今核内レセプターの新しいコアクティベーターが次々とクローニングされ、基礎内分泌学分野ではホットな領域となっている。今回我々は核内レセプターのコアクティベーターによる調節機構が皮膚において存在していることを初めて示し、さらに男性型脱毛部の病因に関わっている可能性を示唆した。
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