研究概要 |
基底細胞癌(BCC)発症に関与する新しい遺伝子を単離するため、まずBCC腫瘍細胞の分離、培養方法の確立を試みた。3名のBCC患者の手術検体から腫瘍部分と腫瘍近傍の正常皮膚を採取し、0.1mg/mlのディスパーゼを添加したKGM培養液に入れ4℃で16時間インキュベートした。正常皮膚は表皮のみ剥離しそれをコラーゲンコートディシュに播きKGMで培養した。腫瘍部分は腫瘍表面の被覆表皮を除去し腫瘍本体のみを取り出し、よくピペッテイングした後、コラーゲンコートディシュに播きKGMで培養した。その結果、3検体中1つでBCC腫瘍細胞と思われる細胞の増殖が観察され、2回継代後凍結保存した。その細胞の形態は、正常の角化細胞とほぼ同様であった。次に培養に成功した細胞が本当にBCC由来であるかどうかを確かめるため、BCC腫瘍細胞で発現が増加すると報告されているpatched, PDGFR-αの免疫染色を施行した。スライドグラス上で細胞を培養し、固定後patched, PDGFR-α抗体で免疫染色したが腫瘍由来細胞と正常部由来角化細胞の間で明らかな発現の差はみられなかった。現在RT-PCRを用いて両者のpatched, PDGFR-α, Gli1の発現の比較検討を施行中である。
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