これまでの研究でSCF/KIT情報伝達およびエンドセリン(EDN)3/ETRB情報伝達がメラノサイトの発達に極めて重要な役割をしていることが判明しているが、両者の相互作用とその時期など不明な点が多い、そこで、我々はEDNがメラノサイトの増殖・分化に及ぼす影響を知ることを目的にマウス神経冠初代培養系にEDNとSCFを単独あるいは同時添加して出現するKITおよびDOPA陽性細胞数を検討した。 1)基本培地のみの無添加群(control群)2)SCF単独添加群3)EDN1単独添加群4)EDN3単独添加群5)SCF+EDN1併用添加群6)SCF+EDN3併用添加群 以上の群について、それぞれ、培養6、9、15日に培養細胞をACK2(抗KIT抗体)を用いた酵素抗体法で染色しKIT陽性細胞の数を測定する。また、培養6、9、15日にDOPA反応を行い、陽性細胞を測定した。 《結果》KITは無添加では3日以降検出できなかったのに対して、SCF添加群では日数の経過とともに陽性細胞数が増加した。EDN単独群ではEDN3群で培養15日にSCF群と同程度出現したが、EDN1単独群では明らかな増加はみとめられなかった。SCFとETの併用群では陽性細胞の増加は顕著で、特にET3との併用群ではカウント不能であった。 DOPA陽性細胞も同様の傾向を示したが、ET単独群では培養9日迄SCF群より少なかったが、培養15日には逆転した。特にEDN1群ではKITの場合と異なり増加した。また、SCFとの併用群ではEDN3と同様EDN1でもカウント不能となる増加を認めた。以上の結果、SCFとエンドセリンはメラノサイトの増殖・分化に寄与すること、また両者は相乗的に強力な作用をはっきすることおよびSCF単独では分化をそれほど進行しないが、エンドセリン特にEDN1は分化に寄与することがわかった。
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