平成13年度は特に以下の点について報告する。 1)ヒトT細胞白血病細胞株MOLT-4細胞、ヒト単芽球性白血病細胞株U937細胞を主に用い、X線照射後または温熱処理後、細胞死の誘導に先立ち、転写因子・癌遺伝子として知られるc-Mycタンパク及びc-myc mRNA発現量が低下する事を見いだした。 2)MOLT-4細胞にc-myc antisense oligonucletotidesを導入し、強制的にc-Mycの発現量を低下させると細胞死が誘導されることを見いだした。またc-Mycタンパクの転写活性を抑制するc-Mycペプチド阻害剤を処理することにより、細胞死が誘導されることも明らかにした。 3)MOLT-4細胞由来X線抵抗性株では、MOLT-4細胞と異なり、放射線照射後のJNKの活性化やc-Mycタンパクの発現量低下が見られなかった。 これらのことから、放射線照射後のc-Mycタンパクの発現量低下は細胞死を誘導する一因であること、そしてJNKがc-Mycの遺伝子発現制御に関与している可能性が示唆された。 (平成14年度の計画) 1)P53やJNKなど細胞死に重要な役割を果たす遺伝子に変異を導入した細胞株を用い、放射線照射後の遺伝子発現の変化をDNA arrayを用いて解析する。 2)c-myc antisense導入株やc-Myc阻害剤処理した細胞の遺伝子発現をDNAarrayを用いて解析する。
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