研究概要 |
平成12年度からの2年間の研究期間にプロトコールに従って高圧酸素療法併用放射線治療を施行した悪性神経膠腫は21例であり、今回の検討では第II相試験としてこの治療の安全性、効果について検討を行った。 Glioblastomaが15例、grade IIIのgliomaが6例であり、KPSは50-100%、年齢は25-71歳であった。6例は完全切除術が施行され、残りの15例は不完全切除術が施行された。放射線治療は週5回法で1回2 Gyとし、それぞれの治療は高圧酸素療法直後(15分以内)に施行された。全症例において予定線量60Gyの放射線治療を化学療法と同時に併用することができた。効果判定が可能である15例において、3例はCR、8例はPR、4例はSDであり、PDの症例は認められなかった。全症例の1、2年生存率はそれぞれ82%,67%であった。Grade III-IVの血液毒性は48%において認められたが、一時的であり白血球減少による発熱や出血は認められなかった。またその他の重篤な副作用も認められなかった。 以上の結果より高圧酸素療法併用放射線治療は安全に施行でき効果的であることがわかった。この治療法は有望であり、今後のさらなる検討が必要であると考えられる。なお、この研究は国際学会雑誌に報告された(Radiother Oncol, in press)。
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