PTA後の内膜増殖と血管内照射による抑制効果を調べるため、平成10年度より日本白色家兎による内膜損傷モデルを作製し、血管内照射による内膜増殖抑制効果を調べた。実験は家兎の両側腸骨動脈に血管形成術施行後、片側のみ血管内照射を行い4-8週後に血管内狭窄率を検討した。その結果、PTA後4週後症例での平均狭窄率で非照射側が13.8%、照射側が1.5%、8週後症例では非照射側は28.9%、照射側は5.7%であった。これよりPTA後損傷血管の内膜増殖に血管内照射が抑制効果を示し効果が2-3ケ月持続したことを示した。この研究には財団法人医用原子力技術研究振興財団より平成11年度助成金を受けている。この実験でPTA後早期の内膜増殖と血管内照射による抑制効果について内皮細胞を中心とした観察が必要であり、今回の科研費のテーマとなった。 方法は前述と同様であるが、標本作製時をPTA後2-7日と早期にした。光顕像では非照射側内膜は僅かの増殖を認め、一方照射側では所見に乏しく、障害部位近傍の内弾性板の破壊と炎症細胞の出現を認めた。電顕で同時期の内皮細胞について観察した。その結果、障害された内皮細胞の修復は2-3日後より照射を問わず開始されていた。照射側の内皮細胞およびその核は肥大化を認めた。また、非照射側の内皮細胞の再生が血流に順であるのに、照射側では血流に無関係な再生を示し、なかには癒合、重層化も認めた。この変化は放射線照射による影響と考えられた。他に障害部位での血小板凝集、血栓形成のなかに一部内皮細胞の再生も見られた。障害による内膜増殖と照射での抑制効果には更なる検討が求められると思われる。上記の内容を第14回放射線腫瘍学会で発表した。
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