研究概要 |
本研究の結果、TMG投与による放射線照射に対して着床前期死亡、胚死亡、外表奇形の発生及び胎児体重の放射線防護効果が明らかにされた。木研究では、胎児の器官形成期に注目して奇形実験に多く使わられているICRマウスを用いて放射線に対するビタミンE誘導体(TMG:2-(α-D-Glucopyranosyl) Methyl-2,5,7,8-Teramethylchorman-6-OL)の防護効果のメカニズムについて実験的に解明した。着床前死亡においてSham control群とTMG+2.0Gy群の胚死亡率とControl群の胚死亡率との間には統計学的な有意差は認められなかった。胚死亡率については2.0Gy群に比べ、2.0Gy+TMG群では胚死亡率が明らかに減少が認められた(p<0.01)。したがって、TMGには胚死亡に対する放射線防護効果があることが明らかとなった。外表奇形と骨格奇形については、Control群とSham control群に対し、すべての照射群において統計学的な有意差が認められた。しかし、奇形発生率からみると2.0Gy群と2.0Gy+TMG群では最も高かったが、TMG+2Gy群では2/3以下に減少が認められた。また、骨格奇形についても奇形奇形と同様の結果が得られた。胎児体重については、Control群とSham control群の休重に対し、2.0Gy群では雄雌の両方とも胎児体重減少の有意差が認められた(p<0.01)。しかし、Control群とSham control群の体重に対し、TMG+2.0Gy群では体重減少に有意な差は認められなかった。従って、TMGには胎児体重減少に対する放射線防護効果があることが明らかにされた。核濃縮細胞(Pyknosis)、Apoptosis、小核(Micronuclei)のような細胞レベルについてもControl群とTMG+2.0Gy群との間に統計学的な有意差は認められなかったが、他の各照射群では、Control群のそれに対して統計学的な有意差が認められた(p<0.05)。本研究の結果、TMG投与により、放射線照射に対して胚死亡、奇形発生そして胎児体重の放射線防護効果が明らかにされた。
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